「扉がある部屋」への考察

作者
翡翠
公開

扉がある部屋。それは夢に入ってから3番目に見る扉が十二枚ある部屋のことである。今回はこの部屋について考察しよう。 そもそもなぜ扉の世界があるのだろうか。いろいろな世界の入り口という解釈や「ゆめ」の最初という解釈等、いろいろな考察がここだけで数十個と生まれるであろう。私はその中の一つを考えてみようと思う。

扉は円を描いている。それは恐らく窓付きの心情の一つを表しているのだろう。円は少しの衝撃があっただけで歪んでしまう。 これは窓付きの繊細さを表しているのであろう。そして同時に円はそう容易くと変わらない。 円になってしまった以上、もう窓付きは途轍もない衝撃でもないと変わることはできないということを暗示していると考えられる。

扉の模様はその世界を忠実に表している。それが何を意味するのか……それは窓付きが「ゆめ」を知っているということに他ならない。 つまり窓付きは「もうすでに知り尽くしている世界」を冒険していたのだ。いや、自分の知識や好奇心、興味の先を自分で確認していたのかもしれない。 なんにせよ、それはとてもつまらない「作業」である。窓付きにとってそれがどのような苦痛だったかは知る由もないが、とにかく凄まじく耐え難いものであったのだろう。 だからこそあのエンディングに興味を持ったのではないか。人間は死ぬのが最後であり、それは必ず「初めて」であっただろうから。

部屋の模様にも触れていこう。部屋をぐるっと回るとわかると思うが扉部屋の模様は左右対称である。 それは円と同じようにとても壊れ易い。もしかすると窓付きは最初の最初、夢に入った時点で壊れていたのかもしれない。

それにしても夢だというのにこれほどはっきりしているとは。 窓付きはどのような存在なのだろうか。残念ながら間違っても常識的で普通の存在とは言い難い。解ることもとても少ないのでこの様な拙い考察しかできないのが悔やまれる。